免疫 (immune system)

【ウイルスに負けない!】ビタミンⅮで免疫力アップする3つの方法

風邪が治ったと思ったらまた具合が悪い、しょっちゅう風邪をひく、という人は、ビタミンⅮ不足かもしれません。

アジア人の女性に比較的多いビタミンⅮ不足は、免疫機能の低下に加え、気分の落ち込みや睡眠の質の低下、骨が脆くなりやすくなるなどの症状が出ることも。

ナチュロパシーの学生時代、興味本位で血液検査をしたら数値が38nmol/L(NZ基準値50-150nmol/L)と「ビタミンⅮ不足」という結果に。当時は風邪をひきやすく、肌荒れはひどいし鬱っぽくなっていて、納得の結果でした。

日光を避け日焼け止めを多用することが多い日本人は、ビタミンⅮ不足の深刻化が考えられます。今回は、ウィルスに負けたくない!免疫力をアップしたい!という方に、ビタミンⅮで免疫力をアップさせて元気になる5つの方法をお教えします。

オーストラリアとニュージーランドの大学で自然療法・薬草学を学び学士号(Bachelor Degree in Naturopathic and Herbal Medicine)を取得。現在はオークランドにあるナチュロパスクリニックで運営・管理に携わるとともに、クリニックに在籍しているナチュロパス達の疑問に答え日々研究文献・サプリメント等のリサーチをしています。2021年時点でナチュロパス歴5年。

ビタミンⅮが免疫をアップさせるメカニズムについてはこちらで簡単に解説しています。

https://sageremedy.net/2021/10/23/mechanism-of-vitamin-d-in-immune-system/

ビタミンDとは?

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ビタミンDは、人間が生きていくのに大切な栄養素のひとつです。骨を強くしたり、免疫機能を高めたり、糖尿病を改善したり、はたまた美肌になる手助けをしてくれたりと、嬉しい効果がたくさんあるビタミンⅮ。ビタミンと言ってはいますが、厳密に言うと、体内で合成することができるのでビタミンではなく、ホルモンの前駆体、ホルモンになる前段階の物質です。ただ、体内で合成できる量ではとても足りないため外から摂取する必要があり、ビタミンDと言われます。ちょっと紛らわしいですよね。

ビタミンⅮにはD₂からD₇までありますが、人間にとって主要なものはビタミンⅮ₂とD₃で、Ⅾ₂は植物由来、D₃は動物由来です。大きな違いはないとされていますが、D₃の方が血中濃度を上げやすいという研究結果も出ており、私のクリニックで処方するのもD₃のタイプです。

ビタミンDの基準値は、日本では75-250nmol/L、NZでは50-150nmol/L、USAでは50-125nmol/L。国によって基準値が違いますが、夏の終わりがけの時点で100nmol/L以下だと、冬を越えた時点で50nmol/L近く、もしくはそれ以下まで下がっている可能性が高く、不足もしくは欠乏状態になってしまっている方もいるかもしれません。

その症状、ビタミンⅮ不足かも?

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ビタミンⅮは、カルシウムを骨や歯に吸着させる手伝いをするので、不足すると骨粗しょう症や骨や歯が脆くなりやすくなりますが、それ以外にも以下のような症状が出ることがあります。

  • 風邪やインフルエンザなどにかかりやすい
  • 疲労が溜まっている・疲れやすい
  • 腰や骨が痛い
  • 気分が落ち込む
  • 傷の治りが遅い
  • 髪の毛が通常より多く抜ける
  • 筋肉痛がある

ビタミンⅮ不足が長期化すると、次のような合併症が起こることも。

  • 心血管系の病気
  • 自己免疫機能のトラブル
  • 神経系の病気
  • 感染症
  • 妊娠合併症
  • 癌、特に乳がん、前立腺がん、大腸がん

風邪など寄せ付けない元気な体を作るためにも、ビタミンⅮの効果的な摂取方法を知っておきましょう。

ビタミンⅮのおすすめの摂り方とは?

1.太陽のビタミンは太陽から摂る!

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人間は、太陽光にあたることで体内でビタミンⅮを作り出すことができます。人間も植物と同じように光合成するのです!しかしそれにはいくつかの条件があります。

太陽から降り注ぐ光の中には紫外線があり、紫外線はUV-AとUV-Bの二つにわけられます。人間が体内でビタミンⅮを作り出すには、このUV-Bが必要です。ただ、太陽光のうちUV-BはUV-Aと違って地上に届きにくく、5-6%のUV-Aと比べて、約0.5%ほどしか届かないそうです。UVBは、オゾン層の中を通る距離が長ければ長いほど、地球に到達する量が減ります。そのため、赤道に近ければ近いほど、日中のUVB照射時間が増えますし、遠ければ遠いほど減ります。また、UVBはガラスや薄い布、日焼け止めでも遮られます。そのため、太陽からビタミンⅮを作り出すには以下の条件が必要となります。

1.なるべく正午前後の時間帯に太陽を浴びる
2.日焼け止めは塗らない
3.肌を直接太陽光に当てる

ただし、UVBは日焼けして皮膚が赤くなったり、シミやそばかすの原因にもなりますので、一日に10分程度が目安です。そのため、UVB量がなるべく多い正午前後の時間帯がおすすめです。

国立環境研究所地球環境研究センターのウェブサイトでは、それぞれの地域のビタミンⅮを作り出す紫外線照射時間の目安を見ることができます。

私の場合、顔は日焼け止めと帽子でしっかり保護して、腕と足を太陽に当てます。NZは緯度が低いので、冬場の太陽はUVBを含まないため、春から秋にかけてのみです。日本の場合も、沖縄に住んでいるなら、時期によっては最短3分ほどで十分な量のビタミンⅮを作り出すことができますが、北海道に行くと8月の一番紫外線量が多い時期でも9分ほどかかり、季節によっては200分以上かかることも。こういう場合はまったくもって非現実的なので、サプリメントを摂ることをお勧めします。

2.ビタミンⅮが豊富な食品を食べる!

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先に書いたように、人間に必要なビタミンⅮはD₂とD₃で、D₂は植物由来、D₃は動物由来です。ビタミンⅮは脂溶性ビタミンなので、脂質を同時に摂ると吸収率がアップします。ビタミンⅮが豊富な食品は以下の通りです。

  • 脂が多めの魚:サンマ、サバ、鮭、いわしなど
  • キノコ類:きくらげ、しいたけ、マイタケ、エリンギなど
  • チーズ:パルメザン、カマンベールなど

乳製品はカルシウムも同時に摂取でき、乳酸菌には腸内環境を整えたりマクロファージを活性化する効果もあり、免疫力を高めるのにはとても効果的です。ただ、乳製品アレルギーや敏感症の方もいるので、そこは注意が必要です。食品に含まれるビタミンⅮの量を調べるには、文部科学省の食品成分データベースが便利です。

3. サプリメントで足りない分を補う!

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ビタミンⅮのサプリメントは、通常1000IUから4000IUが目安です。サプリメントで摂取する場合は、D3のタイプであることを確認しましょう。液体やカプセルのタイプが主流です。私はスプレータイプのリポソーム型のビタミンⅮを摂っています。リポソームとは、リン脂質によってできている超微小なカプセルのことで、そこに栄養素を閉じ込めることで消化液など様々な影響から栄養素を守り、細胞まで確実に届けることができます、吸収率が格段に上がります。

いくつかのおススメするビタミンⅮのサプリメントを以下に載せておきます。

Now Foods Vitamin D3 5000IU – 楽天ショップでアメリカから直送。5000IUと含有率が高めなので、2-3日に一回の摂取でも十分だと思います。私のクリニックでも取り扱っています。

Douglas Laboratories Vitamin D 1000IU – こちらも楽天ショップで購入可能。ダグラスラボラトリーズは、NZではプラクティショナーオンリー商品なので、一般の方はコンサルテーションを受けないと買うことができませんが、その分品質は保証されているということ。私のクリニックでもこちらの会社の商品はよく処方されます。こちらは1000IUの含有量なので、一日一粒摂取して大丈夫です。

ビタミンⅮに関して気をつけたいこと

ビタミンⅮのサプリメントを摂る前に、血液検査をすることをお勧めします。ビタミンⅮは脂溶性ビタミンと先ほど書きましたが、脂溶性ビタミンは過剰な分は脂肪に蓄積されて体内に留まります。ビタミンⅮ過剰の状態が続くと有害となり、毒性症状が出ます。症状としては、吐き気、嘔吐、食欲不振、便秘、脱力感、体重減少などが挙げられます。さらにカルシウムの血中濃度を上昇させることにより、錯乱、見当識障害、心拍リズム異常を発生させることもあります。また、腎臓を損傷するおそれもあるため、きちんと自分の数値を把握してからの方がベター。かかりつけ医にご相談されることをお勧めします。

まとめ

いかがでしたか?ビタミンⅮは免疫力アップには欠かせない栄養素のひとつです。日焼け止めをいつも使っている、あまり日光に当たらない、という方や、風邪をひきやすい、という方はビタミンⅮ不足かもしれません。自然はあなたの味方です。太陽やキノコをたっぷり摂って、元気に過ごしましょう!

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